みなさんは「ゲシュタルトの祈り」という言葉を聞いたことがありますか?
心理学に触れたり、人間関係の本を読んでいない限り、普段の生活の中ではなかなか出会う機会がないかもしれません。けれど、仕事やプライベートで人間関係に悩んだとき、この言葉に出会うと肩の荷がすっと下りるような感覚を持つ人も多いのです。
実は、僕自身も人間関係で行き詰まっていたときに、この「ゲシュタルトの祈り」に出会いました。仕事でもプライベートでも、「相手にどう思われているか」が気になってしまい、自分の行動が縛られている感覚があったんです。そんなとき、YouTubeやネットで「人間関係を楽にする方法」を調べていると、この祈りに出会いました。最初に読んだときは、ただの言葉に見えたのですが、繰り返し読むうちに少しずつ心に染み込み、「ああ、自分は自分でいいんだ」と気持ちが楽になったのを今でも覚えています。
「ゲシュタルトの祈り」とは?
この言葉は、ドイツの心理学者フレデリック・S・パールズ(1893~1970年)が、妻ローラと共に創設した「ゲシュタルト療法」の中で用いたものです。短い言葉の中に、人間関係をシンプルに捉える大切なメッセージが込められています。
日本語ではこう表現されています。
私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる。
私はあなたの期待に応えるために生きているのではない。
そしてあなたも、私の期待に応えるために生きているのではない。
もし縁があって、私たちが出会えたなら、それは素晴らしいこと。
出会えなくても、それもまた素晴らしいこと。
英語の原文はもっとシンプルで、わずか56語しかありません。
I do my thing and you do your thing.
I am not in this world to live up to your expectations,
And you are not in this world to live up to mine.
You are you, and I am I, and if by chance we find each other, it’s beautiful.
If not, it can’t be helped.
つまり、「私は私、あなたはあなた」という考え方に集約されます。
人間関係に悩むときに役立つ視点
僕自身、人間関係で一番つらかったのは「こうあるべきだ」という思い込みでした。
- 自分がこれだけやったのだから、相手も同じように返してくれるはず。
- 相手は自分を理解して当然だ。
- 否定されるのは、自分が悪いからだ。
こうした考え方は、無意識のうちに自分を苦しめてしまいます。相手が思い通りに動かないとイライラし、ちょっとした否定の言葉で大きく落ち込んでしまう。まさに「自分で自分を縛っている」状態でした。
でも、ゲシュタルトの祈りを繰り返し読むうちに気づいたのです。
「相手もまた、自分の人生を生きている」
「必ずしも、自分の期待に応えてくれる必要はない」
そう考えられると、相手への過度な期待が減り、心がふっと軽くなりました。
健全な距離感が生む安心感
人間関係を続けるうえで大切なのは「ちょうどよい距離感」だと思います。お互いに干渉しすぎず、強制もしない。それぞれが自分の足で立ちながら、たまたま交わったときに温かい関係を築ける。そんな人間関係はとても健全ですし、長続きもします。
心理学の言葉で「心理的離乳」という考え方があります。依存せず、自立した関係を持てる人は、社会の中でも安心して存在できるのです。
実生活での活かし方
僕は仕事で大きなミスをしたとき、上司や同僚にどう見られているか気になり、家に帰っても落ち込む日がありました。そんなとき、この祈りを声に出して読むと、「相手の期待に応えるために生きているわけじゃない」と自然に思えるんです。不思議と気持ちが前向きになり、次の日また頑張ろうという気力が戻ってきました。
「ゲシュタルトの祈り」は、日本語で143文字。ほんの短い文章ですが、その言葉の力は大きいです。もし、人間関係で悩んで心が重くなっているときは、ぜひ一度この祈りを声に出して読んでみてください。
きっと「自分は自分でいい」という安心感が戻ってくると思います。そしてその気持ちが、仕事でもプライベートでも、より健やかな人間関係を築く助けになるはずです。


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